雨水のゆくえと地面の様子(水のしみ込み方比較実験)

小4

地球

教材一覧雨水のゆくえと地面の様子(水のしみ込み方比較実験)

単元 雨水のゆくえと地面の様子

目標 水のしみ込み方は、土の粒の大きさによって違いがあることを理解することができる。

担当榎戸

準備

  • 水のしみ込み方比較実験装置

    3個
  • 土、砂、砂利(各100 mL)

    1個
  • 水(各80 mLを入れたプラビーカー)

    3個
  • 虫めがね又はマクロレンズ

  • タブレット

観察・実験

【事象提示】

雨上がりの校庭で土や砂場に雨水がたまったり、しみこんでいく様子を観察したり、土や砂の手触りを確かめたりする。またタブレットで撮影し、撮った動画や写真を映像で見る。調べてみたいことや気づいたことをもとに問題づくりをする。

【問題】 「水のしみこみ方は、地面の種類によってちがいがあるのだろうか。」

30

【実験】 ※実験方法・しみこみ方の評価ポイントを児童に考えさせてもよい。

虫めがね、またはタブレットとマクロレンズを使い、土、砂、砂利の粒の大きさを調べる。(見た目や手触りでも確認)丸の中はマクロレンズを使って撮影した様子。

15

水のしみ込み方比較実験装置を3個用意し、それぞれに土、砂、砂利各100 mL量り、入れる。写真は各100 mL量った様子。

※特に土は隙間ができやすいので、机上で容器の底をトントンと叩いて、隙間を作らないようにするとよい。

それぞれの装置に水80 mLを同時に注ぎ、土などの表面の水が見えなくなるまでの順番を記録する。※順番が決まれば、すべての水が落ちるまで待たなくてもよい。ストップウォッチで時間を測ってもよい。

25

【結果】

土と砂と砂利は粒の大きさが違う。表面の水が見えなくなるまでの順番は、砂利→砂→土となった。

10

【結論】

「水のしみこみ方は土の粒の大きさによってちがう。粒が大きいほど水がしみ込みやすい」

10

豆知識

  • 普段、砂場にシートがかかっている場合は、雨の日にシートの端をめくっておくと水がしみ込む様子を観察できる。
  • ペットボトルの口にかぶせる物は、不織布が適当。粗いものだと土や砂が通り抜けてしまう。身近なものだとお茶パックが便利だが他の不織布でも実験は可能(しみ込む時間に多少の違いは出る)。
  • 多くの教科書では土と砂の二つだが、より結果がわかりやすいように砂利も追加した。
  • 今回使用した土、砂、砂利の種類と購入先
    砂利→南国中目(金魚などの水槽に入れる)、発売元:シンセー
    砂→家庭園芸用土 川砂、製造元:刀川平和農園
    土→園芸用土 黒土 製造元:あかぎ園芸
    ※土、砂、砂利は産地や粒径、処理方法によって結果がわかりにくい場合があるため、必ず事前に予備実験を行う。
    ※今回の実験では、下から水が落ちなくなる時間は、砂利はすぐ、砂は1, 2分、土は10分程度であった。
  • 学校の土を使う場合は、砂が混じっていないかを確認する。また塊になっている場合はつぶすか取り除く。
  • 学校の砂を使う場合は、土が多く混じっていないか確認する。混じっている場合は、濁りがなくなるまで洗う。
  • 今回の「浸み込む」は粒の大きさによって「水たまりがなくなる(水が装置の中を上から下に移動する)」速さが違うことに注目している。一方、児童の一部が「浸み込む」を「水を含む(保水力)」と考える可能性もある。議論が発散しすぎて結論がずれないよう注意する。

参考資料

土、砂、砂利の大きさは? 地質学会、地盤工学会等いくつかの基準が存在する。
例:産業技術総合研究所 地質調査総合センター
【絵で見る地球科学、「泥・砂・礫の区分」】。(地質学会の基準)

https://gbank.gsj.jp/geowords/picture/illust/mud_sand_gravel.html

【発展】砂・砂利より土を通った水のほうがきれいなのはなぜ?
土(粘土)は粒が小さいので、汚れを吸着して水をきれいにすることができる。専門的には、粒の大きさが小さいと表面積が大きく、コロイドの性質を示し、水の吸着保持・イオン交換・凝集性など土壌の理化学的性質に寄与する。
例:岩田ら (1998)土のコロイド現象の基礎と応用 農業土木学会誌 66 (1) 75-81
http://www.jsidre.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/05/66-1colloid-1.pdf

 

実験レポ