単元 電磁石の性質
目標 電流がつくる磁力について、電流の大きさや向き、コイルの巻き数などに着目して、それらの条件を制御しながら調べる活動を通して、電磁石の強さは電流の大きさや導線の巻き数によって変わることを理解することができる。
観察・実験
実験1(8-9/12時間目) 電流の大きさを変えたときの電磁石の強さを調べよう。
■50回巻きコイル(2/12時間目で作製)で、電池の数を変える
①電池ボックス、コイルで回路を作る。
実験2(8-9/12時間目) コイルの巻き数を変えたときの電磁石の強さを調べよう。
■電池1個で、コイルの巻き数(50回巻き、100回巻き)を変える
※電池1個50回巻きは実験2.1②③の結果を使う
②コイルを100回巻きにし、①と同様に数える。
※3回繰り返す。
豆知識
- 電磁石にならない⇒電池は消耗していないか、ワニ口クリップとエナメル線の接続に問題はないか。
- 電池の消耗・発熱を最小限にするため、電流を流す時間はなるべく短くする。
- 50回巻き、100回巻きとも導線の長さは同じにする。導線の長さが短くなる(50回巻きで短く切ってしまう)と抵抗が小さくなり、回路に流れる電流が大きくなってしまう。
- 実験2で使う鉄(ゼムクリップなど)は、できるだけ小さいほうが50回巻きと100回巻きの実験結果に差が出やすい。
指導計画表
1 | 問題を見出し、予想する。 | ○問題作りのための事象提示の例:電磁石でクリップや釘をつる。 ・巻いたコイルに電流を流すと中の釘が磁石になるのはどうしてだろうか? 電磁石・・・コイル(導線を巻いたもの)に電流を流すと中の鉄心が鉄を引きつけるようになる |
2 | ○電磁石を作る(50回巻き、100回巻き・・・児童作製) <実験方法はこちら> | |
3 4 | ○3年生「磁石の性質」の学習を想起する。 ・磁石は鉄を引きつける。・磁石の力は離れていても働く。・磁石にはN極とS極がある。 | |
5 6 | 問題「電磁石にはどんな性質があるのだろうか。」 | 実験1 予想をもとに ①電磁石を使った回路で鉄を引き付けるか実験する。(100回巻き使用) ②電磁石と鉄の間に紙をはさんでも鉄を引き付けるか実験する。 ③電磁石の両端に方位磁針を近付けると針が一定方向で止まることを確認する。 ④乾電池の向きを変え、方位磁針の針が逆向きになるか実験する。 結果 ①回路に電流が流れると電磁石の端に鉄がついた。 ②電磁石と鉄の間に紙をはさんでも鉄を引き付けた。 ③電磁石の両端の方位磁針の針は一定の向きでとまった。 ④乾電池の向きを変えると方位磁針の針の向きも反対になった。 考察 ・電磁石の力をもっと強くしたい。 ・電磁石と磁石の性質は変わらなかった。 結論 電磁石は電流を流したときだけ鉄心が磁石になる。電磁石にもN極とS極がある。磁石とちがって、流れる電流の向きを変えるとN極とS極が入れ変わる性質がある。 |
7 | 考察から問題作り 問題「電磁石を強くするにはどうすればよいのだろうか。」 | 予想 ・電流を強くする。(乾電池を増やす) ・導線の巻き数を増やす。 |
8 9 10 | 実験2 乾電池1個のときと乾電池2個のとき(実験2.1)、 コイル50回巻きと100回巻きのとき(実験2.2)の鉄を引き付ける力を調べる。 <実験方法はこちら> 結果 乾電池2個の方が多く鉄を引き付けた。コイル100回巻きの方が鉄を多く引き付けた。 結論 「電磁石を強くするには流れる電流を強くしたり、コイルの巻き数を増やしたりするとよい」 | |
11 12 | ものづくり 電磁石を利用したものを作ろう | ○電磁石の性質を使って、物を作る。 ○設計図を描いて、材料を用意し、作成する。 |
資料
実験レポ
実験キットも買ってありましたが、最後のおもちゃ作りに重きが置かれている分、実験がしずらそうでした。そのため、サイエンスセンター様の実験キット...もっと見る
匿名さん 北海道 教職員実験キットも買ってありましたが、最後のおもちゃ作りに重きが置かれている分、実験がしずらそうでした。そのため、サイエンスセンター様の実験キットを使わせていただきました。シンプルで分かりやすかったと思います。
匿名さん
北海道 教職員
自作のコイルに電気を通したとき、どのような反応が起きるか様々な実験を行っていました。コイルの中に針が吸い込まれたり、クリップが引き寄せられた...もっと見る
小泉小学校さん 福島県 教職員電磁石の学習
自作のコイルに電気を通したとき、どのような反応が起きるか様々な実験を行っていました。コイルの中に針が吸い込まれたり、クリップが引き寄せられたりなどから、目に見えない磁力を実感していました。
小泉小学校さん
福島県 教職員
インディアナ州の日本語補習校の小学生を対象に活用しました。 アメリカの初等教育において理科の授業時間は限定されています。経済的にゆとりのあ...もっと見る
匿名さん IN 教職員電磁石とは
インディアナ州の日本語補習校の小学生を対象に活用しました。 アメリカの初等教育において理科の授業時間は限定されています。経済的にゆとりのある私学のいくつかは、限られた理科の時間の中で、市販されている実験キットを購入して簡便にできる実験を行う学校もあります。しかし多くの学校は実験実習に費やせる時間的、経済的ゆとりはあまりないようです。 本授業ではコイルをまいて自分たちで電磁石をつくることで、コイルを巻く回数、電池の数やつなぎ方などがおよぼす磁気の強さへの影響を調べました。磁気の強さはひきつけることができるクリップの数で定量化しました。45分の1コマの授業時間内では、コイルをまいて、電気を流すとクリップがひっつくことで電磁石ができたことの確認ができました。2名以外の参加者はスムーズに電磁石をくみたてクリップをひっつけることが容易にできました。オンラインでの指示ということもあり2名は組み立てに当初の予想よりも時間がかかってしまいました。一般に市販されている簡便なキットとはちがい手先の器用さ、注意深さや集中力が要求される実験教材を用いたことで生徒間の進捗度合いに差がでました。何回コイルを巻いたか途中で忘れてしまったという生徒も1名いました。オンラインでの授業での難しさを感じた瞬間でもありましたが、その2名の接続の様子を注意深く見守り適切な助言をくださったお茶の水女子大学の先生方のみならず、すでに組み立ておわった生徒たちからもいろいろな提案が二人の生徒に対して授業時間中にあったことは成果の一つだと感じています。電池の向き、新しい電池をつかっているか、線の接続箇所など、みないろいろな助言をしていて、すでに組み立ておわっている生徒たちにとっては考察の良い機会になったものと思います。今回用いたのは簡便にだれもが使える市販キットとは違う教材であったことで、結果として組み立てや実験の過程で考察や議論の機会が豊富にもてたことになりこの教材を用いてよかたっと思いました。 最終的には45分の時間内に全員が組み立てを完了し、電磁石がはたらいていることをクリップを使って確認できました。 生徒たちにいくつかの課題、たとえばコイルを巻く回数、電池の数、電池のつなぎ方がおよぼす電磁石の強さへの影響を調べてみよう、を準備し、次の時間にその結果を生徒たちに発表してもらうことにしました。私にとって興味深いことに、参加者全員が次の時間までにそれらの課題を自宅で行っていて、それぞれの条件で得られたデータを発表していたことです。生徒の半分が自身のデータをもって次の時間に発表すればいいかなあと思っていましたので、全員がデータを発表している姿に少し驚きました。アンケートをとると本授業はとても面白かった授業の一つだったというコメントを全員が書いていました。 発表されたデータによれば、同じだと思われる条件で実験したはずなのに、ひっついてくるクリップの数で表される電磁石の強さが生徒によってばらついていました。それらのデータをどう解釈したらよいか、解釈の正誤を確認するために次にどういう実験を行えばよいか、などの議論も短い時間のなかでできたことはよかったと思います。教科書では理路整然ときれいな文章でまとめられています。しかし実験はかならずしもいつも当初の予想どおりの結果が得られるわけではありません。予想外のデータが得られた場合に、次にどういう実験を組み立てればそれを確認できるかなどについて皆で議論し、方針を決めてさらなる実験をやってみる。自然科学を学ぶ上で大切な視点の一端に生徒たちは触れることができたのではないかと思います。 最後の時間に、全国学力・学習状況調査の過去の問題のなかで電磁石に関する問題を参加者全員で意見を交わしながら考える時間をもてたことは、実験により得た知識の定着をはかる意味からも有効だったのではないかと思っています。 これは私自身の反省点ですが、お茶の水女子大学の先生方から事前に連絡をいただいていたにもかかわらず、生徒たちへの安全面での連絡、たとえばつかっていないときには装置から電池を外しておくこと、を私が各ご家庭にお知らせするのを怠っていたことを思い出し、夜中に電子メールで全員に連絡したことです。実験中の加熱、実験後の電池の扱いは安全上で大切ですので、次に機会があれば忘れずにしっかりと連絡しておこうというのが私の反省点の一つです。 またZoomでブレイクアウトルームを事前に準備しておけば、組み立てに時間がかかっている2名の生徒に対してより効率的に個別に対応できたのではないかと思います。これを二つ目の反省点としたいと思います。
匿名さん
IN 教職員
一般向けに開いた教室で、ゲスト講師にオンラインでお茶大の方に登場してもらって、電磁石を使った魚釣りを作りました。小学1〜4年生がメインで参加...もっと見る
ASさん 高知県電磁石コイルの作成
一般向けに開いた教室で、ゲスト講師にオンラインでお茶大の方に登場してもらって、電磁石を使った魚釣りを作りました。小学1〜4年生がメインで参加し、中には4歳の女の子も磁石の動きを楽しんでいました…
ASさん
高知県