単元 生命の連続性 「遺伝の規則性と遺伝子」
目標 ファストプランツ (Purple Stem変異体)の栽培を通して、形質の表れ方の規則性を見いだし、染色体にある遺伝子を介して親から子へ形質が伝わること及び分離の法則について理解することができる。
担当里
観察・実験
【事前準備】
ファストプランツ(Purple Stem変異体)の種子を授業日の2~3日前にまいておく(手順は後述)。播種から2~3日後に観察する。それ以上の日数が経過すると、胚軸の色の判別が困難になる。
【基本事項の確認】「親の形質は子や孫にどのように伝わるのだろうか?」
・形質:生物の特徴となる形や性質のこと
・遺伝:親の形質が子や孫の世代に現れること
【実習1】遺伝カードを使った活動
■子の世代、孫の世代への形質の伝わり方について遺伝カードを使ったモデル実験をおこなう
2人1組になりそれぞれが青色と透明のカードを一枚ずつ持つ
①純系の組み合わせをそれぞれ持つ
【実習2】ァストプランツ Purple Stem変異体の孫の形質の観察
■孫での形質の現れ方の比が3:1になっていることを、実際の植物の観察を通して確かめる。
①各班に30個程度のファストプランツ(Purple Stem変異体)の種をまいておいたシャーレを配布する。
③各班の数を合計し、紫色と緑色の出現割合を算出する。
【まとめ】
豆知識
豆知識
ファストプランツ(Brassica rapa)
1980年代にアメリカのウィスコンシン大学Paul Williams博士らによって、開発されたアブラナ科の教育用モデル植物。その特徴として、生活環が短いこと、小型で栽培が容易であること、胚軸(子葉と幼根の間にできる茎状の部分)の色などで、形質の違いを判断できる変異体があることなどがあげられる。
購入は以下のホームページから可能。
ファストプランツ日本語HP:http://www.fastplants.jp/
実験レポ
もともと何の植物なのかなあと(食べる??)思いました。芽が出たところで結果が見えるのがいいところだと思いました。
匿名さん 長野県 教職員もともと何の植物なのかなあと(食べる??)思いました。芽が出たところで結果が見えるのがいいところだと思いました。
匿名さん
長野県 教職員
インディアナ州の日本語補習校の小学生を対象に活用しました。 アメリカの学校授業では実際に植物の栽培を体験する機会がほとんどないため、子ども...もっと見る
匿名さん IN 教職員ファストプラントを用いた植物の構造および生活環の学習
インディアナ州の日本語補習校の小学生を対象に活用しました。 アメリカの学校授業では実際に植物の栽培を体験する機会がほとんどないため、子どもたちは発芽や受粉の観察活動に熱心に取り組んでいました。それぞれの家庭で個別に栽培してもらったので、栽培環境の違いから生育状態にばらつきがみられました。しかしオンラインを通じてそれぞれのファストプラントの生育の様子を生徒が相互に発表したことで、生育におよぼす栽培条件の影響について考察の機会が持てたと思います。たとえばある生徒が、学習電気スタンドで24時間光照射をはじめたところファストプラントの緑色が増し、成長速度も速くなったと報告したことで、他の生徒も光の照射に工夫をするようになりました。 また土の上に増えた緑色や白色の生物に多くの生徒が興味をもち、顕微鏡で観察したところ緑色の部分からは数種類の単細胞の緑藻類とおもわれる生物が見つかりました。他方、白い部分からはカビの菌糸のようにみえる微生物が観察されました。さらに受粉操作を通じて生徒たちが花粉に興味をもったため、これも顕微鏡で観察しラグビーボール状の花粉を観察することができました。こうして別の時間に実施した手作り顕微鏡実習を通じて学んだ顕微鏡観察の重要性を、ファストプラントの授業の中で生徒たち自身から生まれた興味の対象に用いることで再認識することもできました。 当地は、5月半ばまで遅霜のリスクがあり、一方8月半ばになると朝夕、冷え込む日が多くなるため日本の理科の教科書で一般的な生物教材として用いられるアサガオの良好な結実が必ずしも容易ではありません。また補習授業校の生徒の中には夏休みの時期に日本に一時帰国する生徒も多く、種まきから結実、種子の回収まで3ヶ月前後を要するアサガオを用いた学習の全生徒への提供に困難が伴います。それに対してファストプラントは1ヶ月から40日程度で完結するので非常に有効な生物材料だと感じました。この授業を通じてアサガオとの比較においてファストプラントの他家受粉に興味をもった生徒たちの探究心を持続すべく、ファストプラントの子葉などの茎にアントシアニンの蓄積がみられる変異系統の種子をとりよせて交配実験を希望する生徒がいるかどうかたずねたところ、参加した全ての生徒がこうした交配実験をやってみたいとのことでした。そこで変異系統と標準系統の種子を新たに生徒たちにむけて発送したところです。授業の時間のなかだけで、一時的な思いつきで、なぜ、なぜと言いっぱなしでおわることなく、興味や探究心を発展、継続させることができるファストプラントを用いた本授業はとても有効であると思います。 本授業はお茶の水女子大学の先生方にオンラインでご指導いただきながら実施しました。知識が豊富な先生方から直接生徒たちがご指導いただけたことで、生徒たちの疑問に直ちにお答えいただくことができ、生徒たちはもとより保護者の方々にとっても高く評価いただけました。
匿名さん
IN 教職員